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10.キーパーソン自宅の情報防衛

 企業の情報防衛を考えた場合、意外と盲点になりやすいのが会長社長以下役員クラスの人物の自宅である。
 いくら本社などのオフィスビルの情報防衛に真剣に取り組んだとしても、ここが無防備では片手落ちである。
 ある産業スパイによれば、企業情報の中で一番最初に入手したいものはその企業の組織図と社員住所録であると言う。
その理由は組織図によりキーパーソンを抽出し、住所録によりその人物の生活すべてを把握でき、それにより、その人物と接触したり、自分のエージェントに仕立て上げることができるからである。

彼らが使うテクニックとしては、盗聴、尾行、ごみ分析、郵便物調査などであろう。
これらのテクニックを順に追ってみよう。

  まず第1に、「盗聴」であるが、これには2種類の方法がある。それは電話等の通信回線の盗聴と室内音声の盗聴である。
通信回線の盗聴については、電話回線上のどこかに無線送信式の盗聴器を仕掛けるか、電話線を直接別の電話線に接続し盗聴するかのいずれかの方法が一般的である。
 どちらの方法についても最寄りの電話局までの間であればどの場所でも盗聴可能である。
例えば無線送信式の盗聴器の場合、一般的には一戸建ての住宅の場合は保安器(電柱からの引き込み線が各家屋に接続されている場所)の中のヒューズを同形の盗聴器と交換する方法(マンションなどの集合住宅の場合はIDF、MDFに直接盗聴器を接続する方法)や電柱にある黒い長方形の箱(端子函)の中のターゲットの回線に盗聴器を仕掛ける方法が考えられる。しかも、重要なことは通信回線の盗聴を実施しようとする場合、ターゲットの家の室内に侵入する必要がないということである。従って、それだけ察知される危険性が少ないのである。

 次に室内に盗聴器が取り付けられる場合であるが、これも幾つかの方法がある。
一番実施しやすい方法は、室外から室内の会話を盗聴できる場所に盗聴器を仕掛けることである。
例えば、玄関の新聞受けの中、エアコン用の使用していないダクト用穴などが考えられる。これらの場所であれば、室内に侵入することなしに盗聴器の設置が可能である。
 また、新築祝、昇進祝、或いは懸賞商品、サンプル商品などに盗聴器を内蔵し送りつける方法も有効である。これも直接侵入する必要はない訳である。

 最後の手段として、ターゲットの自宅に侵入し盗聴器を仕掛ける場合があるが、仕掛ける側にとっては非常にリスクを伴うため、あくまでも最後の手段であろう。しかしながら、この場合、盗聴器の設置場所は無限にあり、場合によってはカメラまで設置することもできる。また、最近では携帯電話を利用した盗聴方法も多く、これであれば日本全国どこからでもいつでも盗聴することが可能になる。

  それではこれらの盗聴を防ぐためにはどの様にすればよいのか。
まず、通信回線については一般的には現在市販されている盗聴器はアナログ方式のためデジタル方式であるISDNや光IP電話などを盗聴することはできない。従ってこれらの回線に変更することが第一歩である。もちろん携帯電話しか利用しないというのであれば今のところはそれでも大丈夫であろう。より以上の防衛を考えるのであれば特定の相手(会社/取引先)との通話のみ有効であるが、暗号化装置を自宅と相手先の双方に設置することである。これにより安全性は格段に高まる。
 なお、ご存じのことと思うが、コードレスホンの子機での通話は簡単に傍受することができるので、重要な会話には絶対に使用しないことである。秘話機能が付いていても全く無意味であり、どうしても子機を使用したいのであれば最近販売されているデジタル通信方式のコードレスホンに買い換える必要がある。

  次に室内会話盗聴の防衛策であるが、上に書いた危険箇所を定期的にチェックするだけでも充分効果がある。そして、可能であるならば自宅に電界強度計を1台常備し、贈答品のチェックや室内のチェックを都度実施することが望ましい。勿論、会社として信頼できる盗聴調査会社と契約し、キーパーソンの自宅を定期的に巡回調査させれば安心である。

  第2に尾行についてであるが、自宅住所が判明してしまった場合、自宅周辺から会社までの道のりは電車であれ車であれ常に尾行の危険がつきまとう。
尾行の主な目的としては、ターゲットの行動を調査し、ターゲットの弱点を探ることである。
特に退社後の行動が重要視される。勿論、通勤ルートを把握することも必要であるが、それよりも会社が終わってからの行動にターゲット攻略の鍵が潜んでいる場合が多い。
特に酒、女、ギャンブルに絡むターゲットの弱点、場合によっては副業やサラ金利用、万引癖、性癖、買春や薬物使用といった決定的な弱点まで把握することができるわけである。勿論名簿業者との付き合いや競業他社員との面談、人材斡旋業者との面談などの背信行為が確認できる場合もある。また、料亭などでの秘密の会合なども把握したい行動である。しかも、料亭などいつも決まった部屋を利用する場合、盗聴は勿論カメラの設置まで可能となる。

 このような尾行に対向する手段はあまりない。なぜならば、ストーカーではないがあなたの後ろを歩いている人間が自分を尾行していると考える人間が何人いるであろうか。そして尾行されていることに気が付かなければ対策を講じない人間がほとんどである。常日頃から尾行される可能性を認識している職種の方は別にして通常はほとんど考えないものである。

 もしも、この章を読んで不安になった方は、実施できることが幾つかある。それは、まずは上に書いたような弱味を持たない、外部に見せないことである。また、尾行者に用心していることを分からせるために例えば電車であれば駅から会社まで、車であれば自宅から会社までの通勤ルートを毎日変えることである。その際できればなるべく曲がりくねった道を選択することである。尾行から身を守る手段は常に尾行されていることを前提に行動することである。

  第3にごみ分析についてであるが、ガーコロジーという学問にもなっているようにゴミには非常に多くの情報が溢れている。
食生活や趣味嗜好は勿論、郵便物、請求書、通話明細、電話番号、利用クレジット会社、カード番号、会員番号など様々な情報が得られるのである。場合によっては会社の機密資料が見つかるかもしれない。しかも、それらの情報が侵入等のリスクなしで手に入るわけである。これはターゲット分析には絶好の資料となるわけである。
従って、防衛手段としては、それらの情報が分からないようにしてゴミだしすることが肝心である。
尾行の場合と同じように常にこのゴミは誰かに見られる可能性があるという前提でゴミを前処理することが必要である。例えばシュレッダーで裁断(その際にはストレートカットではなく、クロスカットにする)するなどの注意が必要である。

  最後に郵便物調査についてであるが、郵便物からも上のゴミ分析と同じように様々な情報が得られる。
しかも、無くなっても発覚しにくく、場合によっては内容だけ確認し元に戻すこともできる。封筒などはわざわざ開封しなくても、強烈なバックライトにより内容を確認することもできる。
それではどの様に防衛したらよいのかというと、まず、郵便受けが施錠してあることを確認し、施錠してなければ早急に施錠することである。
次に自宅の郵便受けはどの様な構造になっているか確認していただきたい。郵便物の挿入口から郵便物を取り出すことが不可能であるか確認する必要がある。つまり、逆流防止がなされているか確認する必要がある。
一般の家庭において、例えば電話料金の請求書が1回来なかったことを気に留める方がどれほどいるであろうか。ましてやそのことを家族に話す方がいるであろうか。このように郵便物は手にとって初めてその存在を認識するものなのである。それだけに郵便受けから正規の方法以外郵便物が取り出せない方式にしておくことが非常に重要になる。

  以上キーパーソンの自宅の情報防衛について記述したが、決して誇張したつもりはない。キーパーソンと呼ばれる人達はほとんどの場合、仕事が生活の大部分を占めており、仕事を家庭に持ち込むケースが多々ある。
しかも、会社とは違い、自宅の中であれば緊張感も途切れやすい。従って、情報を搾取しようと思う人間には絶好の場所なのである。もしかすると、社内よりも危険な場所なのかもしれない。

 なお、ターゲットが弱みをまったく見せなかった場合には、相手はターゲットの弱みを作る罠を仕掛けてくるかもしれない。充分な注意が必要である。


参考書籍


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